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ピロリ菌と胃潰瘍(2020年3月)

 ヘリコバクターピロリ菌・通称ピロリ菌は、胃の表層を覆う粘膜に住みつく細菌です。胃液には強い酸性の塩酸が含まれているためほとんどの菌は生息できないのですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を出すことによってアルカリ性の物質を作り出し、塩酸が中和され胃が酸性ではなくなるために生息が可能となります。感染経路ははっきりとは分かっていませんが、水や食べ物と一緒に口に入ると考えられています。子どもの頃に井戸水などを使用していた方など、特に60歳以上の80%が感染していると言われています。

 胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍はピロリ菌感染者の10~15%程度、またピロリ菌に感染して数十年の間に3~5%程度が胃がんを発症しています。みぞおちなど腹部や背中の痛み・腹部不快感・胸やけや吐き気などの自覚症状は、空腹時や食後少し時間がたってからおこる場合が多く、軽い食事の後は痛みがなくなる傾向にあります。一方、全く自覚症状がなく人間ドックなどで偶然発見される場合もあります。

 感染を調べる方法としては、胃内視鏡検査・呼気検査・血中抗体検査・便抗原検査等があります。自覚症状のある方は検査を受けておくと安心です。症状がなくても、胃がんの早期発見のためには50歳以上の方は2年に1回の胃内視鏡検査が推奨されています。感染がみとめられた場合、一般的に1日2回7日間の内服により70%以上の方がピロリ菌除菌に成功します。効果がみられなかった場合でも2回目の除菌で90%が治癒できます。内服を指示されたとおりにきちんと守ること、また、日頃から過労やストレスを避け規則正しい食生活を心がけることが大切です。

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