加齢と熱中症(2025年7月)




人が暑さにさらされると、温度センサー(感覚神経や皮膚の表皮細胞)が感知し、脳の視床下部にある体温調節中枢に伝えられます。その情報に深部からの温度情報も加え、暑いと判断すると、皮膚血管や汗腺に命令を出し皮膚血流量や発汗量を増やします。老化に伴い温度センサーにの感覚が鈍くなると、暑さを感知しにくくなるとともに、自律性体温調節の発動が遅れ、身体に熱がたまり、熱中症の発症へとつながります。消防庁による年代別の救急搬送数は、65歳以上の高齢者が全体の半数を占めていて、年齢が上がるほど発生率も高くなっているのが特徴です。
食事で1日の水分量の40%が摂れるため、一日三食、しっかり食べるよう心がけてください。口の渇きを感じにくくなっていたり、体液量や血液量が若い頃より少なくなっているため熱の放散能力が低下している方も多く、こまめな水分補給を忘れずに。汗をかいた時は、スポーツドリンクなどの塩分や糖分を含む飲料を飲むことで、水分の吸収もスムーズになります。
日頃から運動習慣を持つことや、質の良い睡眠の確保を意識すると、暑さに負けない体力の保持につながります。就寝の1~2時間前までにぬるめのお湯で入浴することで、自律神経を整え良質な睡眠につながります。寝ている間にも水分が失われるため、寝る前にコップ一杯の水をのみ、枕元には飲料を置いておくと安心です。エアコンを活用し、室内温度は28度以下にし、通気性の良い衣服を着ることも予防につながります。